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こんぱすコーチの全方位日記

2010/9/23 茨城(一部栃木)3私鉄乗り鉄

2010年9月23日の秋分の日。記録的な猛暑もようやく終わったかに見え、この日は久しぶりの冷たい雨の中、茨城県を主体に走る3私鉄「つくばエクスプレス」「関東鉄道常総線」「真岡鐵道」を完乗しました。

以下は詳細レポートです。なお写真はGoogleのPicasaとMapサービスを通じて、マイマップの各ポイントに配置しました。

 

つくばエクスプレス(TX)(秋葉原-つくば)

高田馬場からJR山手線と中央・総武線を乗り継ぎ、秋葉原駅に到着。駅前のヨドバシカメラAKIBA館が雨に煙っています【写真01】

めざす、つくばエクスプレス秋葉原駅はこの直下。

濃紺と赤のコーポレートカラーにまとった案内サイン【写真02】を目印に、階段を奥深くまで駆け下りていきます。改札を通ってさらに階段を下りると、ようやく目指すホームに。折しも快速・つくば行きが停車中。最後尾の写真を撮影【写真03】するも、ホームドアが邪魔をしてなかなか良いアングルが決まりません。ホームドアは安全運行の切り札として有益ですが、こと趣味の分野では残念ながら障害物となってしまいます。

9:30、発車時刻となってゆっくりと秋葉原駅ホームを離れました。朝の下りなので6両編成の車内はさらっと乗っている感じ。快速とはいえ、北千住までは各駅に停まります。比較的カーブが多いため地下鉄と同じようなゆったりとしたスピードでトンネルを駆けていきます。

南千住を出るとようやくトンネルを出て視界が開けますが、北千住で多くの乗客を出迎え、荒川を渡り終えたところで再びトンネルに。このあたりは既に住宅街となっているため、立ち退きや騒音を避けるために地下線にしているのでしょう。

埼玉県に入ったところで再び地上へ。この頃から列車はぐんぐんとスピードを上げ、高架線上を飛ぶように走っていきます。と思うと再びトンネルに。流山市内を再び地下線で走り抜けて地下駅の南流山に到着。ここはJR武蔵野線との乗り換え駅であるため快速停車駅になっています。

再びトンネルを出ると、また加速をはじめます。踏切の一切ない全線高架の鉄道であるため、この路線の設計速度は130km/h。スピードメータを見たわけではありませんが、おそらく常時トップスピードで飛ばしていると思われるくらい、快調に高架線上を走り抜けていきます。

つくばエクスプレスでは大きく2つの車両形式がありますが、快速に使われるTX2000系は、直流電化区間と交流電化区間の双方を走ることができるとともに、筑波山等へ向かう行楽客が乗車することも想定し、中間には一部クロスシートを配したセミクロスシート車を連結【写真04】

ぜひともこのクロスシートに座って外の景色を愛でたいものの、どの座席にも先客がおり座ることができず。おそらく大半の利用者が途中の守谷で降車することであろうと当て込み、しばしお預けに。

関東鉄道常総線との接続駅である守谷に到着。ここから列車は交流電化区間に入ります。秋葉原から守谷までは直流電化。守谷からつくばまでは交流電化。切り替えセクションが守谷駅を出たところにあるのですが、車内灯が消えるわけでもなくセクション通過時の様子は体感的にはわかりません。

JRでは直流と交流が交わる箇所が多くありますが、私鉄では1つの路線で直流・交流が併用されているのはつくばエクスプレスのみ。本来は全線直流電化することが望ましいのですが、茨城県石岡市内に気象庁の地磁気観測所があり、直流電化だとこの施設での地磁気観測に影響が出る懸念があったため、交流電化区間を設けた経緯があるそうです。

思惑どおり守谷で多くの降車客があったため空きのできたクロスシートの人に。このクロスシート、通路側の肘掛けから折りたたみ式のテーブルが出てくる本格的なもの。

その後も雨に煙る常総台地をトップスピードで駆け抜け、60km弱の区間を45分ちょうどで走破。終点のつくば駅に到着しました【写真05】

つくば駅は「つくば研究学園都市」の中心部にあり、研究施設や住宅地が整然と並ぶ近代的な街並み。そういうわけで特に見るべきものはなかったため、すぐに折り返しの秋葉原行きに乗車。

折り返しの電車は区間快速で、守谷までは各駅停車。駅に停まるごとにパラパラと乗車客があります。祝日とはいえエリア内は大雨洪水警報が発令中。にもかかわらず予想外の利用客で、つくばエクスプレスがすっかり地元に受け入れられている様子がうかがえました。

小雨のそぼ降る中、守谷駅に近づきます。守谷には車庫があり、折しも守谷始発の各停が出庫中。その脇をすり抜けて守谷駅ホームに到着すると、ホーム反対側に始発の各停が到着しました。ここから僕が乗ってきた電車は快速運転のため、通過駅は始発の各停に乗り換えるよう案内。僕の他にパラパラと下車客がありましたが、それ以上に乗車する人の数が多く、座席がサラッと埋まった状態で僕の乗ってきた区間快速電車は秋葉原駅へ向けて発車していきました。

続いて、始発の各駅停車秋葉原行きが発車【写真06】

 

関東鉄道常総線(取手-下館間)

関東鉄道常総線には、つくばエクスプレスとの乗り換え駅である守谷から乗車。まずは終点の下館に向かい、真岡鐵道を往復した後、再び下館から取手まで上り列車で全線を走破することとしました。

まずは守谷駅の駅事務所でトクトクきっぷ「常総線・真岡鐵道共通一日自由きっぷ」を購入【写真07】

1枚2,300円と少々値が張りますが、もし仮に守谷-下館-取手と乗車した場合の正規の運賃は2,640円となるため、十分に元が取れる上、真岡鐵道の下館-益子間も利用できる(同区間の往復運賃は1,480円)ので、むしろ買わない手はありません。

常総線の守谷駅はつくばエクスプレスの開業と同時に改築されたらしく、ホーム上に設けられたコンコースは大手私鉄の校外駅と見まごうほど立派なつくり。エスカレータやエレベータも完備されておりバリアフリーも考慮されています。

ところがホームへ下りると何だか薄暗い。駅全体をコンコースが覆っているにもかかわらず蛍光灯があまり設置されていないのです。ここが赤字私鉄ならではの涙ぐましい経費節減で、煌々とした明るさに慣れた人間にとっては違和感のある駅構内でした。

運転本数の少ないローカル鉄道だったので乗り継ぎに要する時間が心配だったのですが、既にホームには下館行きの快速列車が発車待ち中。ところが数分後には反対側のホームに取手からやってくる各停水海道行きが先発するとのこと。どのみち水海道で後から発車する快速下館行きに乗ることになるわけで、守谷から快速に乗っても良かったのですが、水海道駅構内を観察したくもあり、先発の各停に乗車。2両編成の列車はほぼ満席で到着しましたが、つくばエクスプレスに乗り換える人が大半と見え、多くの降車客があったため閑散とした車内の人となりました。

わずか数駅で終点の水海道に到着【写真08】『水』と書いて『みず』ではなく『みつ』と読ませるんですね。長い歴史を経て読みが変化したものだと思いますが。

列車は島式ホームの2番線に到着。駅舎や下館行きへの乗り換えには1番線へ渡る必要がありますが、これがホーム端に設けられた構内踏切【写真09】。昔はホーム間の移動にこういう踏切が当たり前でしたが、跨線橋や地下通路が当たり前になってきた昨今、逆に希少性があります。

下館行きの列車に乗るべく1番線に身を置くと、向かい側に今まで乗ってきた各停列車が回送として入庫待ちの状態【写真10】。見た目は電車のようですが、常総線は全線非電化であるためディーゼルエンジンで走る気動車です。

さて常総線は始発駅の取手とここ水海道との間は複線になっています。水海道周辺は早くからベッドタウンとして開けており、つくばエクスプレスが開通するまでは常総線に取手まで乗車し、取手から常磐線へ乗り換えるしか都内へ向かうルートがありませんでした。勢い乗客が急増、旅客がさばききれなくなってしまったものの、単線では増発もままならず複線化がなされたわけです。非電化路線で複線になっているのは常総線とJR九州・JR北海道に1~2例があるのみで珍しい光景です【写真11】

そうこうしているうちに、守谷で道を譲った快速下館行きが到着。何と快速のくせに1両編成です【写真12】

水海道までは2両編成の列車が多いのですが、水海道から先は1両の列車が大半のようで、それだけ利用者が少ないということでしょう。もっとも乗車した快速は座席が完全に埋まっており、僕も含めてチラホラと立ち客もありました。こうしてみるとそれなりに利用があるように見え、まんざらでもありません。

水海道を出発した快速は、下館までの間に2駅しか停車せず本当に快速らしい列車なのですが、裏を返せば他の駅はこの時間帯はほとんど利用者がおらず、そうなると停めてもムダなので、快速化しているのが本来のように思えます。

スピードはあまり出ていませんが、それでも前後左右に列車が揺れるのは、車両の足回り性能があまり良くないのでしょうか。ローカル鉄道では珍しくマクラギがコンクリート製【写真13】だったので、線路側の設備はしっかりしているようです。

石下(いしげ)で多くの降車客があり、続いて下妻(しもつま)で大半が下車。車内は一気に閑散となりました。

下妻から4駅通過して下館に到着【写真14】。水海道から40分少々の快速列車の旅でした。

話が前後します。

真岡鐵道を往復し、SL列車から降りたって下館駅の跨線橋を渡ると、既に各停取手行きが客待ちをしていました。ほどなく16:06に発車。朝の守谷もそうでしたが、列車本数が少ない割には他路線との連絡は考慮されており、スムーズな乗り継ぎに感心しました。

夕刻の上り列車とあってさすがに車内は閑散ムード。各駅に停車するも思い出したように1人2人の乗車があるだけで寂しい行軍となりました。もちろん1両編成。十分事足ります。

そのうち下妻で部活動をしてきたらしい高校生の集団が乗り込み、やや賑やかさを取り戻しました。その後も各駅に停車するたび、1人降りては1人乗るといったような妙なバランスをとりながら約1時間で水海道に到着。ここで車両交換です。

旅客案内上では「取手行き」のはずだったのに、実際には水海道から2両編成の車両に交換、水海道より先の取手方向へ向かう乗客は全員乗り換えが強いられるのです。これまで乗ってきた1両編成の「取手行き」はここで入庫。事実上の水海道行きなのでした。

車両を交換して2両編成になった取手行きは、各駅でそこそこの乗客を拾っていき、17:30に終点の取手到着。あたりはすっかり真っ暗【写真41】

あっという間の1日乗り鉄を惜しみつつ、JR常磐線で帰路につくべく改札を抜けてJR線のホームへ【写真42】。ところがお彼岸のこの日は朝から猛烈な雷雨が降り、常磐線は我孫子駅付近で落雷があったとかで目当ての上野行きが運休。乗り継ぎのスムーズなローカル鉄道の旅でしたが、最後の最後でよりによって列車本数の多いはずのJR線で待ちぼうけを食わされました。

 

真岡鐵道(下館-茂木間)

関東鉄道常総線の下館駅ホームから跨線橋を端から端まで渡ると、そこが真岡鐵道の発車ホームです。既に茂木行きの列車が発車待ち【写真15】。濃淡の緑で細かいブロックパターンをあしらい、腰部は真っ赤に塗られた、アバンギャルドなデザインです。ひととおりの乗り換え客を出迎えて、12:04、所定より2分遅れてホームを離れました。

車内は多くの座席が空いてはいましたが、昼ご飯時でしかも大雨のさなかにしてはそこそこの乗客数でした。部活帰りの高校生のほか、ルート途上の益子で焼き物の町を探索しようという観光客もチラホラ。この種のローカル鉄道は閑古鳥が鳴いていると聞いていたので少々心強く感じました。

ワンマン運転なので駅に着くたびにドア扱いと運賃収受、肉声での案内放送と、かなり忙しそうな運転士。しかしキビキビした動作に頼もしさを覚えます。

鉄道名にもなっている真岡に到着。「まおか」ではなく「もおか」と読みます【写真16】

ここ真岡には鉄道名を拝借しているだけあって真岡鐵道の本社や車庫があり一大拠点です。何といっても特徴的なのはこの駅の駅舎。SLを復活運転していることを記念して、SLをかたどったデザインなのです【写真17】。駅舎を横から見ると、アーチ状の窓ガラスに当たる部分は、SLの動輪をイメージしているデザイン【写真18】

ここで5分ほど停車の間、乗客の半数が入れ替わり、運転士も交代して発車。だんだん雨足が激しくなり、列車の天井をバシバシと雨粒が叩く音が車内にも響きます。そして思い出したように稲光まで。あまりの豪雨にこの先が心配になってきました。しかし列車は淡々とジョイントを刻み続けます。

車内の自動放送が「次は益子」と告げ、LED式の案内板にも「次は益子」と表示されました【写真19】。そうこうするうちに益子駅に到着。「益子」と書いて「ましこ」と読みます【写真20】

益子焼きの町を散策する観光客はここで全員が下車。車内はすっかり閑散となりました。

激しい雨の中、それでも定刻通りに運転を続け、それぞれの駅を丁寧に停車し約20分で終点の茂木に到着【写真21】。「茂木」と書いて「もてぎ」と読みます【写真22】。こうしてみてくると真岡鐵道は意外にも難読駅名が多いですね。

茂木の町はひなびた城下町。雨が降っていることもあってほとんど人通りはなく、車の数も多くはありません【写真23】

雨の中をテクテクと歩くと、いつの間にか真岡鐵道の終端部に出くわしました【写真24】

身を翻して真反対を見ると、レールはありませんが、何となくレールが敷かれていたような路盤のような土手が続いているのが見えます【写真25】。僕のつたない記憶では、旧国鉄真岡線時代、終点の茂木から先に以遠の計画線があったような意識はなく意外に思いました。

後で調べたところでは、【写真25】に写っている背後の山を越えて、向こう側の町まで戦前に路盤が完成していたとのこと。間にはトンネルも貫通しており、線路を敷こうと思えばしける状態です。ところが結局は線路が敷かれるもなく、そのまま朽ち果ててしまったとのこと。旧真岡線改め真岡鐵道に未成線があるなんて初めて知った次第です。

腹が減ったので駅に戻り、駅舎内に併設されている食堂で山菜そばを注文。帰りはSLもおか号に乗車することを決めているものの、この時点で出発まではまだ1時間も待ち合わせ。暇をもてあますことになるので、時間をつぶす方法はないものか、と店番のおばさんにこのあたりの見所を聞いたのですが、城山公園に彼岸花の群生地があるものの今年は連日の猛暑のため開花が遅れているとのこと。しかも1時間で往復は難しいらしい。

仕方がないので周辺で時間をつぶすことにし、雨のそぼ降る中、上り方向へ線路端を歩いていると、茶色に塗られた3両編成の客車が留置中。これがSLもおか号に使われる客車です。

そのまま客車をやり過ごし、踏切を渡ったところで何やら後ろが騒がしい。振り返ると、いつの間にかSLもおか号の牽引機であるC12形蒸気機関車が機回しを終えて、客車3両の先頭に連結したところでした【写真26】。列車に近づき、さらにパチリ【写真27】

『C12 66』とナンバープレートを掲げた機関車の機関室には、既に機関士が乗務しており、入れ替え作業を待っています【写真28】

そうこうするうちに、下り列車が茂木に到着。約5分ほどですぐに下館へ向けて発車していきました【写真29】

この下館行きをやり過ごしてから、やおらC12 66号機の周辺に動きが出てきて、保線係がポイントを切り替えると、短く汽笛を鳴らしたC12が、たっぷりのドレーンをはき出し【写真30】、ゆっくりと客車を引き出し始めました【写真31】

茂木駅の構内へ向かい、ホームで待っていると、SLもおか号はバック推進で入線【写真32】。先頭の機関士席では定刻発車に向けて最後の調整中の様子です【写真33】

さて、このSLもおか号に乗るためには、乗車券の他に「SLもおか券」なる整理券が必要です。茂木駅の窓口で500円で購入しました【写真34】

車内に入ると、ほのかな消毒剤と煤の香り。いかにも国鉄の列車を彷彿とさせます。客車形式は「オハフ50」【写真35】。この車両も旧国鉄(現JR)で誕生しその後譲り受けたもので、もともとのオリジナルカラーは真っ赤。寝台特急の「ブルートレイン」にちなんでこちらは「レッドトレイン」と呼ばれていました。

珍しいSL列車だというのに、最近は全国各地で走っていて珍しさも半減したからなのか、荒天も手伝って乗客は数えるほど。座席は選び放題です。僕は先頭車の真ん中あたり、進行方向向かって右側の一角に落ち着きました。

ふと雨粒がいっぱい付いたガラス窓越しに、小さな可愛らしい転車台があるのに気づきました【写真36】

午前中に下りSLもおか号を引っ張ってきたC12 66号機は、この転車台で方向転換し、先頭の向きを上り方向へ向けるわけです。

14:28。いよいよ発車です。ドアが閉まり、一瞬、間をおいた後、「ボォーーーッ!」と想定しているボリュームよりもはるかに大きな音の汽笛が前方でしたかと思うと、ゆっくりと客車はホームを離れていきます。

電車や気動車なら発車時の加速はスムーズであっという間にスピードが上がっていきますが、SLはそうはいきません。「ガタガタガタッ」と前後動の激しい音と振動が連結器を通して伝わってきます。身体が前後に揺すられ、決して乗り心地が良いとは言えません。しかしそれもSL列車の醍醐味。「シュッシュッシュッシュ」と蒸気を吐きながら徐々に加速していき(それでも時速40kmほど)、僕の乗っている客車が「タタン、タタン」とレールを刻む音が旅情をかき立てます。むろん、毎日がこのような列車に乗せられたならたまったものではありませんが。

線路と並行して延びている道路を走る車から、子どもたちがしきりにこちらへ手を振ってきます。彼らもSL列車には興味津々なのでしょう。その中で1台の車が、この後、終点近くまでずーっとストーキングのように追いかけてきていました。助手席の子どもがずーっとこちらに手を振っていたので、お子さんにせがまれたお父さんが一念発起して「追っかけ」を演出したのかもしれません。

ほぼすべての駅に停車しつつ、通常なら20分のところを30分かけて益子駅に到着。ここで意外にもホームには大勢の人。SLもおか号を待ち受けたと見え、列車が停車するとまずは一目散に先頭のC12へ駆け寄ってスナップを撮影し、続いてドヤドヤと車内に入ってきました。すっからかんだった座席があっという間に人人人で埋まっていきます。

どうやら団体客のようです。胸に付けられたバッジを見ると「はとバス」のロゴ。どうやら「はとバス」ツアーに参加している人たちのようでした。バスでのツアーでSL列車を乗る行程があることに、何だか可笑しさを覚えたものです。

添乗員の言葉を聞くともなしに聞いていると、一行は途中の真岡までの体験乗車らしく、真岡駅に到着すると、案の定全員が下車。車内は塩が引いたように再び閑散となりました。

ここで10分近く停車するというので僕も彼らにつられてホームに降り立ちました。先頭の方に朱色に塗られた旧国鉄のディーゼルカーが止まっています。近づいてみると、既に現役としては引退しており、SLもおか号の車内販売で売られる飲み物やお菓子、お土産品などをストックしておく倉庫として使われていました【写真37】

機関車の方ではこの9分間の小休止のうちに蒸気圧を上げるためか、機関士が懸命に石炭を火室へくべています【写真38】

かつて僕もアルバイトでイベント用の蒸気機関車を動かしたことがあり、その経験から言うと、蒸気圧はちょっと油断しただけで下がってしまいまったく走らなくなります。それを防ぐためにはちょっとした空き時間でも休むことなく火勢を強くして水を送り込み、蒸気圧を上げていく努力が必要。とても手にかかる代物ではありますが、無機質な電車や気動車とは違い何だか生き物のような息づかいが聞こえてくるのが蒸気機関車。これが人々を魅了してやまないのかもしれません【写真39】

9分間の停車中は客車もひと休み、といった感があります【写真40】。 15:29、定刻に真岡駅を発車。その後もほぼすべての駅に停車し、約20分後、終点の下館に到着しました。真岡鐵道の下館駅構内はかなりこぢんまりとしており、転車台もありません。到着した機関車はどうするのだろう? と思っていると、ホームに入ったときに隣の留置線のディーゼル機関車が目に入りました。あ、これを使って真岡へ引き返すのかな? と一人で合点していると、果たしてディーゼル機関車がSLもおか号の最後尾に連結。今度はこちらが先頭となって、C12 66号機を最後尾に連結したまま引き返していきました。予想がみごとに当たりました。



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